「岐阜県若年性認知症カフェ」開催レポート
update 2026/10/02

若年性認知症と診断された方やその家族、支援者が集まる交流イベント「岐阜県若年性認知症カフェ」が9月19日(土)、大垣市の「奥の細道むすびの地記念館」で開かれました。「当事者同士が悩みを共有したり、情報交換したりする場に」との思いから毎年秋に開かれているもので、5回目となる今回は西濃地方を中心に計32人が集まりました。
参加者は午前中、松尾芭蕉の生涯を展示する「芭蕉館」の鑑賞や、水門川沿いの遊歩道散策を楽しんだ後、敷地内のカフェ「船町ベース」へ移動。和やかな雰囲気の中、昼食をとりました。午後からは認知症のご本人と家族が2つのグループに分かれ、ご本人のグループは脳トレなどのレクリエーションを、家族のグループは交流会を行いました。家族のグループは、病気の進行のことや経済的な不安、介護のストレスなど、ご本人の前ではなかなか言えない悩み、そして「うちの場合はこう乗り越えた」「こんな声かけや工夫がおすすめ」といった経験を語り合いました。
認知症は高齢者の病気と思われがちですが、若年層での発症もあり、65歳未満で発症した場合には、「若年性認知症」 と呼ばれます。働き盛りや子育ての世代であるため忙しく、診断が遅れるケースも珍しくありません。岐阜県から委託を受けてイベントを運営する若年性認知症支援センター(大垣病院内)のコーディネーターで精神保健福祉士の坂池良太さんによると、岐阜県内には若年性認知症と診断された人がおよそ500人いると推計されています。坂池さんは「若年性認知症は発症から介護保険利用までの期間が長く、その間の社会生活や経済的な支えが課題。会社のサポートや行政の制度・サービスを活用しながら、できる限り働き続け、希望を持って暮らせるよう、コーディネーターとして支援したい。また、症状や進行は人それぞれだが、早期発見が重要なので、支援センターの存在をもっと多くの方に知っていただき、利用してもらえれば」と話していました。


参加した方々の声
●56歳の夫と池田町から参加した女性:夫が認知症だとわかったのは52歳のとき。仕事上のミスが増え、当時勤務していた会社の社長から受診を勧められたのがきっかけです。私も薄々、様子がおかしいと気づいていたものの、口にするのが怖くて言えませんでした。診断直後は「これからどうしたらいいのか」と目の前が真っ暗になりましたが、支援センターとつながることで、生活を守る支援や情報を得ることができました。今はお世話になっている病院からの提案で、障害者雇用の枠で働かせてもらっています。夫が認知症になったのは不運でしたが、悪いことばかりではありません。一緒に外出したり、料理をしたりと夫婦で過ごす時間が増え、絆が深まりました。介助しているというより、共に生きるという感覚。もちろん不安はありますが、今を大切に、笑顔で接していこうと思っています。
●51歳の妻と郡上市から参加した男性:つい最近、妻が認知症と診断されました。人口が少ない田舎で暮らしているので、相談できる人や居場所が少なく、自宅にこもりがちになってしまうことが悩みです。でも、今回初めて認知症カフェイベントに参加し、同じ立場の方たちとお会いできたことで元気をもらいました。「ああ、悩んでいるのは自分だけじゃないんだ」と。妻もたくさんおしゃべりをして刺激を受けたからか、普段よりも表情が生き生きとしています。認知症の問題を家族だけで抱え込まず、外とつながることの大切さを再認識しました。これからもふたりで楽しい場所に積極的に出かけて、1日でも長く一緒に穏やかな時間を過ごしたいと思います。
■若年性認知症に関する岐阜県の相談窓口
岐阜県若年性認知症支援センター(大垣病院内)
TEL:0584-78-7182
開設時間:9:00〜15:00(土曜・日曜・祝日・年末年始を除く)
