介護職をめざしたきっかけ
- 高校在学中はとくに就きたい仕事や目標もない中、部活の先輩からの紹介で内装関係の会社に就職しました。当時の仕事内容は部屋のクロス貼りが中心で、病院や介護施設にも行っていました。そんな中、ある介護施設でいつものように作業をしていたところ、高齢者の婦人が私に近づき「泥棒!誰か来て!早く警察を呼んで!」と大きな声で怒鳴り、コップやテレビのリモコンなどあらゆる物を投げつけられました。施設の職員を呼び事情を説明したところ、「あの方は認知症で正しい判断ができないことがあります。あなたを内装業者と認識できず、黙ってカーテンを外されたので泥棒と勘違いしたようです」と謝っていただきましたが、その時の私には認知症への知識が全くなく、職員の説明も理解できずにその場を去りました。数日後、またその婦人の居室に作業のため入りました。怒鳴られる覚悟をしていましたが、自分の仕事を理解してもらうために先に自己紹介をしたところ、「はいはい。よろしくお願いします」と明るい声で言っていただき、作業終了後は「今日はありがとう。おかげで部屋が明るくなりました」と笑顔でお礼を言われました。その時の「ありがとう」という言葉が嬉しくて忘れられず、高齢者の力になりたいと介護職を目指すことにしました。
私は今、こんな仕事をしています
- 23年間介護職に携わっています。現在は介護福祉士として訪問介護の仕事をしています。主に訪問先で入浴や排せつ、食事の介助をしますが、私はサービス責任者でもあり、利用者様と訪問介護員のスケジュール調整やサービスの見直し、相談なども行っています。
利用者様の状態は常に変化します。例えば、1週間前は自分で浴槽をまたぐことができたのに、今週は足を上げられない。そういった緊急な対応にも臨機応変に考えられるよう、さまざまな利用者様の日々の介助において、原因の追究や解決策などを考え、提案し、実行しています。
この職場の好きなところ
- 職員間のチームワークがよく、業務の終了時間が来たら「あとは私がやっておきます」「早く家族の元に帰ってあげてください」と、自然に気遣いの言葉が飛び交います。業務中も大変な仕事、面倒な仕事を率先して手伝い合うチームワークの良さが自慢です。
先輩職員が後輩職員をマンツーマンで指導していることもあり親しくなりやすく、上下の隔たりなく和気あいあいと日々の業務に取り掛かれます。職員間の仲の良さは、自然と介護現場でも空気が出て、利用者様のサービスにも繋がります。「いつも笑顔だね」と利用者様やご家族に言っていただくこともあるので、これからも現場責任者としても気持ちよく働ける環境づくりに力を入れてきたいです。
今後の目標
- この職業について23年になりますが、まだまだ学びたいことはたくさんあります。今後も外部の研修に積極的に参加して、介護の現状を知り、職場で伝えていくことが私の使命だと思っています。学び続けることはもちろん自分のスキルアップになりますが、一緒に働く職員たちのスキルアップにも繋がります。
また、当施設では新しい職員の指導にも力を入れていますが、介護や介助など作業のチェックシートを作り、教えたことをスムーズに実行できたら印鑑を押すシステムを導入しました。これによって数ある介護業務の中でも得意不得意がわかるようになり、不得意分野を丁寧に教えることで得意に変わっていきます。利用者様へのサービスやケアだけでなく、職員間の雰囲気づくりや指導にもバランスよく力を入れていきたいです。