介護職をめざしたきっかけ
- 長年勤めていた会社を定年退職し、様々なことにチャレンジしました。スポーツジムに通ったのをはじめ、消防本部の救命入門コースや、認知症サポーターの養成講座を受講するなど、自分に何ができるのか、何をやりたいのかを模索していました。
そんな時、シルバー人材センターの勧めで、現在の職場の介護助手として働くことに。それまで介護とは縁がなく、未経験からのスタートだったため、最初は戸惑いの連続でした。
私は今、こんな仕事をしています
- 入職当初は1日4時間、週5日間の勤務。介護助手という立場だったため、お茶出しやテーブル拭きなど実際の介護ではなく、介護職の方々をサポートする業務に従事しました。しかし次第に、介護に関する専門の研修を受けていないことで、車椅子を押すことも、トイレに付き添うこともできない自分に対してジレンマを感じるようになりました。利用者様から見れば同じ職員であるにもかかわらず、「ちょっとこれ手伝って」と声を掛けられても、何もできないことが申し訳なく思え、自分自身にとってもフラストレーションになりました。そこで一念発起し、介護職員初任者研修を受講することを決意。65歳を過ぎてからの新たな挑戦でした。
15日間のスクーリングをはじめ、自宅学習も必死になって勉強に取り組んだ結果、2019年8月に修了。晴れて介護助手から介護職員として働くことができるようになりました。
今はトイレへの付き添い、食事や入浴の介助、車椅子介助など、これまでできなかった日々のお手伝いができるようになり、人の役に立てることに心からやりがいを感じています。
この職場の好きなところ
- 業務自体は決して楽ではありませんが、誰かを笑顔にできる最高の仕事だと感じます。初めは戸惑いばかりで、人前に立つことにも抵抗がありましたが、今では日々の生活介助だけではなく、時間があれば童謡を歌ったり、体操をしたりと、利用者様に喜んでいただけることを少しでもたくさん実践したいと考えています。これからも、自分にできることがあれば積極的にチャレンジしていきたいです。
中でも一番の楽しみは、トイレの付き添いの際に利用者様と内緒話をすること。排せつ中に個室の中に2人きりという、普通ではあり得ない状況だからこそ、本当の心の内を明かしてくださるのです。私だけにこっそり話してくださる秘密の話や、些細な日々の出来事を聞くことで心の交流を実感できます。
また、利用者様のサポートをする中で感じることは、トイレに行くこと、話ができること、歩くこと、そういう当たり前のことができる日々の尊さです。介護の現場での経験を通して、周囲に対する感謝の気持ちなど人間らしさが身に付き、心の豊かさを大切にする気持ちなどを改めて学ばせていただいています。
今後の目標
- 介護に従事するようになった当初は、つい自分一人で無理をしてしまい、失敗することもありました。特に力が必要な場面などでは一人で背負わず、介護する側もされる側も笑顔でいられることを最優先にしたいと思います。そして常に“相手の行動や考え方を変えさせるのではなく、自分自身の対応を変える”という介護の初心を忘れずに、1日でも長く働き続けることが目標です。
また、研修など学ぶ機会があれば、積極的に参加したいと思っています。将来は、介護職の経験や知識を活かして、災害時の支援などにも役立てていきたいです。