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「ICT・介護ロボット活用セミナーと展示・体験会」開催レポート

update 2020/02/06

介護現場におけるICT(情報通信技術)やロボット活用の意義・効果について広く知っていただくことを目的とした「ICT・介護ロボット活用セミナーと展示・体験会」が2020年1月24日、岐阜市司町の「みんなの森 ぎふメディアコスモス」で開かれました。このイベントには多くの介護関連事業者が来場。事例発表や講演、展示・体験会などを通じて、介護現場のICT化とロボットの導入・活用で広がる可能性を共に考えました。

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「事例発表

事例発表では、介護現場にロボット機器やICT製品を導入した5つの事業所が導入の経緯や成果、今後の課題などを紹介しました。
特別養護老人ホーム「岐阜県立飛騨寿楽苑」は、ベッドの一部がリクライニング車いすに分離変形し、離床を支援するロボット介護機器「リショーネ®」を導入。寝たきりの要介護者を、抱きかかえずにベッドから車いすへ移乗できるため、介護者の身体的な負担の軽減が図れたといいます。同施設の尾沼美樹さんは「チルト機能(座面、座背面を前後に傾ける機能)がないなど、普及には課題があるが、進化への期待も大きい。今後、介護ロボットに関する知識や効果的な活用ノウハウを施設全体で継続的に学んでいきたい」と意欲を示しました。
リハビリ型デイサービス施設「レッツ倶楽部 下呂白樺」は、ICTを使って書類作成業務を効率化するソフトウェア「ラクウェア 」を導入。同施設の見廣道子さんは「入力がタッチパネル式のため、パソコンに不慣れな職員も取り入れやすかった。導入によってゆとり時間が生まれ、アセスメントやコミュニケーションが充実するなど、職員の意識改革につながった」と説明しました。

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「講演

続いて、一般社団法人白新会 Natural being代表で厚生労働省老健局の介護ロボット開発担当も務める福辺節子さんが『介護ロボットの活用と介助される人の「力を引き出す介助」』をテーマに講演。福辺さんは自らも義足ユーザーの理学療法士として、「介護する人・される人に負担のない技法」を説いている方です。
講演で福辺さんは「介護ロボット、ICTには大きな可能性がある。導入にあたっては目的や意味を明確にすることが大切」と強調。そして、自身が提唱する「対象者の力と意欲を引き出す介助術」のポイントを、事例を交えながら解説し、「対象者の心身の変化を身近で継続的に実感できる介護の仕事は本来、専門性が高く、魅力的な仕事。ロボットやICTをうまく取り入れて、介護の未来を明るくしていってほしい」などと語りました。


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「展示・体験コーナー

会場には、県内外の福祉機器メーカーら12社が参加した介護ロボット機器・ICT製品の展示・体験コーナーも。最新機器を間近で見られたり、実際に機器を操作して効果を体験できたりとあって、各ブースには人だかりができていました。
中でも来場者の注目を集めていたのは、サイバーダイン株式会社が製造するロボットスーツ「HAL®」。介護者の体に直接装着することで、腰への負担を25~40%軽減できるというものです。「HAL®」の販売協力を行うリコージャパン株式会社の中村美子さんは、「筋肉の信号から装着者の姿勢を読み取り、動作をスムーズにアシストしてくれるのも特徴。最新モデルは介護者だけでなく、要介護者もリハビリなどに使うことができるので、利便性や可能性の広がりを積極的にアピールしていきたい」と、語りました。機器を体験した人は「これを使うと、物を持ち上げる動作がとてもラクになる」と驚いた様子で話していました。
ダイコク電機株式会社が開発した、身長58㎝ほどのヒト型ロボット「NAO」は、コミュニケーション力が武器。人の顔や声を認識し、自然な会話が可能です。ゲームやダンスもでき、介護施設で「レクリエーション担当」として導入が進んでいるそうです。同社の榊原久さんは「NAOの導入で施設の雰囲気がより明るくなった、介護職員の負担が軽減したという声を多くいただく」と語っていました。
デイサービス施設の書類作成業務を最大90%削減することができるソフトウェア「ラクウェア」を開発したフロンティーク株式会社の三鴨正貴さんは「介護の現場では、多くの時間を手書きの書類作成に費やしているのが現状。ICT化すれば事務作業が大幅に効率化され、利用者のケアに集中する時間を増やすことができる」と製品をPRしていました。

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岐阜県では、ICTや介護ロボットの普及を後押しするさまざまな取り組みを行っています。2015年度からは介護施設向けに介護ロボット購入費用の補助制度も設けました。県からの委託で今回のイベントを企画・運営した岐阜県介護研修センターの三宅徳重さんと和田芳美さんは「ICTや介護ロボットは、介護業界の人材不足を解決する有効策として期待されているものの、現場で使いこなせるか不安などの声も多い。こうしたイベントで、実際に見て触れて試すことから始めてほしい」と話していました。

「ICT・介護ロボット活用セミナーと展示・体験会」は、2月19日に「セラミックパークMINO」、2月21日に「飛騨・世界生活文化センター」でも開催される予定です。ぜひ足を運んでみてください。


ICT・介護ロボット活用セミナーと展示・体験会チラシ(PDF:897KB)