キャリア段位制度「内部評価実践セミナー」開催レポート
update 2017/08/08
2017年8月5日(土)にキャリア段位制度「内部評価実践セミナー」が、OKBふれあい会館で開かれました(委託事業者:株式会社わかさキャリアコンシェルジュ)。キャリア段位制度は、国家プロジェクトの一つ「実践キャリア・アップ戦略」を推進するためH24年度からスタート。食事介助・排泄介助といった基本介護技術や地域包括ケアシステムへの取組みなど、介護職員の実践スキルを共通の評価基準にしたがって評価するとともに、「できない」と評価されたことを確実に「できる」ようになるよう、OJTツールとして職員のスキルアップに繋げていくというもの。
6月、7月に行われた「キャリア段位制度普及促進セミナー」では制度の概要や必要性、アセッサー講習の概要などを説明。2回目の今回は実践に向けた内容で、アセッサーを取得している方、新たに取得予定の方が、多く参加されました。
「内部評価の進め方」
第1部の「内部評価の進め方」については、株式会社わかさキャリアコンシェルジュ 代表取締役の中村香代氏が登壇。「キャリア段位制度は、介護職員の職能レベル「できる」を判定するのに最適なツール。ツールであって、取得までの過程が大事!目標はあくまでも介護職員の質を上げること。認定に向けてしっかりと取り組んだ事業所は、職員の質が向上し、研修体制が充実。職員の定着率も格段にアップし、結果、職員も管理者も楽になる」と、今年レベル4の認定者が誕生した医療法人「明輝会」(鹿児島県)や、おかやま介護グランプリで優勝した特別養護老人ホーム「のどか」(岡山県)の事例を挙げた説明が行われました。
「キャリア段位制度認定に向けて取り組んでいくことを、職員全員に説明する!これが一番大事。」と中村氏。「一丸となることでモチベーションアップに繋がり、離職率も下がる。また、大変でもスケジュールや計画表はしっかりと作成することも大きなポイント。各種シートは「キャリア段位ホームページ」内でダウンロードでき、「評価に着手するための手引き・付録集」の活動スケジュール表は確実に作成してほしい。」との具体的な話に、参加者は真剣な面持ちでメモを取っていました。
「キャリア段位の実践的理解と評価のポイント解説」
第2部では、一般社団法人神奈川県介護支援専門員協会 副理事長の松川竜也氏を講師として、キャリア段位制度における介護技術項目のポイント解説や、地域包括ケアシステム項目の対策解説など、より実践的な講義が行われました。
講義では、主に「入浴介助」「介護過程の展開」「地域包括ケアシステム」のチェック項目と判定基準を解説。介護職員やケアマネジャーとして働いていた松川氏は、「季節に合った、好みの服を選んでもらっていますか?伸びる素材、ボタンの少ない服を選んでいませんか?」「決められた日だから入浴させるのではなく、バイタルサインの測定結果を確認し、利用者様の体調や意向を優先していますか?」など、現場でよく見られるやりとりや自身が経験した具体例を挙げて説明。「入浴・食事・起こし方など、職員の仕事のしやすさを優先していないか、利用者様の選択の機会を奪っていないか、意向を都度確認しているか。「利用者様の状態」に合った、過不足のない「適切な介護技術」を提供していること。これが「できる」の判断基準になっている。作業で覚えず、しっかりと理解することが大事」とのアドバイスがありました。
またキャリア段位の評価の構造として、記録を残すことの重要性も強調。そして、難しい、イメージが湧きづらいとの声が高い「地域包括ケアシステム」の解説では、夏祭りを地域開放したり、1人暮らしのお年寄りにも声をかけて消火器の使い方や避難場所の確認をするなど、すぐ実践できる事例を紹介。そして、この項目でも大事になってくるのが記録だということでした。「利用者様からの相談や問題状況を基に、関係する他の部門や機関に必要とされるサービスを文章化して提案しているかどうか」というチェック項目は、プロセスが評価されるためアプローチした記録が重要。提案した結果、実施は断られてしまった場合でも問題ないとのこと。チェック項目が多く、ハードルが高く感じるレベル認定ですが、解説を聞くと身近なことに置き換えてクリアできていくように感じました。
最後の質疑応答では、レベル4の認定を目指す参加者からの質問に両氏から的確な返答と励ましの言葉がありました。
現在、平成29年度アセッサー講習第2期受講者の募集が行われています。
申込締切:8月16日(水)
受講期間:10月上旬〜11月28日(火)
実施:一般社団法人シルバーサービス振興会
岐阜県では、「アセッサー講習」を受講し、修了証が発行されると受講費用について、1人当たり10,000円の助成を行っています。
「去年は岐阜県がアセッサーの伸び率で全国ナンバー1でした。アセッサー講習の最後に行われる確認テストについては、合格点が取れなくても諦めず、合格するまでeラーニングを受講してください。助成金が受けられる今がチャンスですよ。」とは中村氏。
詳しくは岐阜県HPをご覧ください。
岐阜県HP介護キャリア段位制度
なお、岐阜県では「キャリア段位制度」への取組みにより、事業者における積極的な人材育成が進むことを目指しています。また「岐阜県介護人材育成事業者認定制度」の下記の基準を満たすことになります。
グレード2:職員の資格取得を支援し、その実績があるとともに、キャリア段位制度のアセッサーがいる
グレード1:キャリア段位制度のレベル4認定者がいる