「福祉の職場 体験バスツアー」開催レポート
update 2019/08/29
小・中学生と保護者及び教員の方々に福祉や介護の仕事を身近に感じてもらおうと、毎年、岐阜県が夏休み期間を利用して企画し、岐阜県社会福祉協議会が実施している「福祉の職場 体験バスツアー」。今年も県内どの地域の方も参加できるよう、9コースで実施されました。
8月6日(火)に開催されたツアーでは、岐阜市内にある特別養護老人ホーム 大洞岐協苑様と東海学院大学の体験に、41名が参加されました。
「スタート」
JR岐阜駅のロータリーから2台のバスで出発!
今回は2か所の施設をめぐるツアー。1か所目の「大洞岐協苑」を目指します。
〜特別養護老人ホーム「大洞岐協苑」〜
「オリエンテーション」
施設長の長谷部様からのあいさつの後、施設の特徴や職員の役割について説明がありました。スライドを使った分かりやすい説明で、季節の行事、一日の生活の様子、施設の設備などはイラストや写真で紹介。「どんな生活をしているの?」「お金はどれくらい要るの?」「どんな人が働いているの?」など質問形式のスライドで、施設を利用した場合のイメージがわきやすい内容でした。
「リハビリ機器体験」
続いて、参加者全員でリハビリ室へ。利用者がそれぞれのニーズに合った運動をするスペースで、10種類以上のリハビリ機器が並べられています。リハビリの意味や方法についてスタッフの方から説明をしていただき、参加者それぞれが順番に機器を体験していきます。「身体を動かして気持ちいい」「自立した生活をするために、リハビリの重要性が分かった」と子どもたちは笑顔で取り組んでいました。またお子さんと交代をしながら、保護者の方々も真剣に体験している様子が見られました。
「施設内の見学」
2つのグループに分かれ施設内を見学。トイレや洗面台スペースから、食堂、医務室、デイサービスセンターやケアハウスのフロアまで、さまざまな場所を見学しました。
特別浴室では、入浴用のイスや大型の浴槽などを目の前で見ることができました。利用者が生活しやすい設備の工夫点など、分かったことをメモに書き留める参加者の姿が見られました。
「介護職員体験談」
初めの部屋に戻り、スタッフによるお話。介護の仕事を目指したきっかけや仕事に対する考え方を、2人のスタッフから説明していただきました。「“ありがとう”という言葉をかけてもらえるとやりがいを感じます」といった実体験を基にしたお話に、参加者も興味深く聞き入っていました。
「介護食の体験」
昼食を兼ねた「介護食の実食」では、栄養士からバランスの良い食事の大切さについて説明がありました。この日の介護食は麦飯を主食に、メインディッシュはエビフライ。ほかにスパゲティソテー、もやしの味噌汁、カリフラワーサラダ、桜漬、パインが付いたメニューでした。
お茶は「とろみ茶」を実食体験。とろりとしたお茶は喉をゆっくりと流れていくので、誤嚥を防ぐというわけです。部屋の前方には一食だけ参考に、極刻み食やミキサー食も置かれていました。参加者にとっては普段の食事とは違うお茶や料理で、介護食について知る機会となったようです。
〜東海学院大学〜
バスツアー2か所目は、福祉について学ぶことができる「東海学院大学」。神谷眞弓子学長のあいさつの後は、大学のガイダンスとして、栄養や福祉、幼児教育など専門的な知識が習得できることなどの特徴を紹介していただきました。
また、当大学で取得できる資格や図書館の一般利用の案内もありました。
「体験型模擬授業」
こちらでの体験は、大学の講義が体験できる2コマの“模擬授業”。1時間目のテーマは「あなたを傷つけないコミュニケーション」でした。健康福祉学部総合福祉学科の田上博幸講師が、言葉の選び方や相手を思いやる気持ちを表現することの大切さを解説。ご自身の体験談を交えた講義に、参加者が興味深く聞き入る姿が印象的でした。
2時間目は「建築デザイナーになってバリアフリー空間を創造してみよう」というテーマで、健康福祉学部総合福祉学科の岡本真理子教授にレクチャーしていただきました。
建築家が“言葉以外で内容を伝える方法”の一つとして、自分の体を使って寸法を測ることを体験。席を立ちながら手や腕などの長さを親子で測り合い、教室はにぎやかな雰囲気に。
また、図形を見ずに、聞いた言葉だけで描く体験は、皆さんとても苦戦。視覚や言葉の大切さを、体感しながら学んでいました。
【まとめ】
充実した約5時間のプログラムがすべて終了。体験中は真剣に考える顔や、楽しみながら取り組む笑顔などいろいろな表情を見せた子どもたち。それを見守る保護者の方々も、それぞれ思い思いに学び多き時間を過ごしていました。
また、今年のバスツアーでは初めて小中学校教員にも参加の募集を行いました。参加された教員の方からは、「介護施設での体験では、リフト車など普段体験できないことができた。また、大学見学では身体の不自由な方が日常生活において、どのようなことに困るのかを身をもって体験することができた」と感想をいただき、今回の体験を通して、「介護は人と人との関わりから成り立つものであり、人材不足が課題となっているこの業界、少しでも興味があればぜひ、この道を志してほしいと、学校の子どもたちに伝えたい」と話されました。
岐阜県ではこのような介護や福祉の仕事を体験できるさまざまなイベントを開催しています。ぜひ参加して、福祉業界を知るきっかけにしてみませんか。
ツアーに参加した方々の感想 |
大洞岐協苑では、手すりが利用者の使いやすい高さに設置してあるのが印象的。より生活しやすくするために、細かいところまでを工夫されていているのだと思いました。 祖父母と一緒に住んでいるのですが、それでも今までは福祉があまり身近ではなく…。今日はリハビリ機器などを楽しく体験することができ、これからは福祉を身近に感じていきたいと思います。 福祉の職業体験バスツアーは今回で2回目。特別養護老人ホームなどの施設によって違いがあることが勉強になりました。また、大学の講座が受けられるなんて、とても貴重な体験ですね。 |
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社会福祉法人岐阜県社会福祉協議会 岐阜県福祉人材総合支援センター
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