「来て 見て ふれて ふくしワールド」開催レポート
update 2019/07/24
2019年7月5日(金)・6日(土)の2日間にわたり、モレラ岐阜にて福祉体感イベント「来て 見て ふれて ふくしワールド」が開催されました。“福祉”をより身近に感じてもらおうという思いから、イベント名はあえて「ふくし」とひらがなにこだわった今回のイベントは、岐阜県及び県社会福祉協議会と民間企業が力を合わせて初めて開催。公共施設ではなく、様々な年代の方が訪れるショッピングモールで行ったことで、お子様連れのファミリーや大学生のグループ、シニア世代のご夫婦など、多くのお客様がブースを興味深く回っていました。
6日のメインイベントには、13年間プロサッカー選手として活躍したFC岐阜クラブアンバサダーの難波宏明氏が登場。親戚の方が以前に交通事故で車いす生活になり、物心ついた頃から身近な存在だったという車いすを実際に体験しました。「安全に配慮して、常に声をかけることが大切。」という注意点に対し「シグナルを送ったりコミュニケーションを取ることは、サッカーと同じ。」と話されていました。続いて介護食を試食し「2007年に顎を骨折した際、治り具合に合わせてムース食・刻み食、と段階をふんだ食事を経験したことがある。噛む力が弱い方でも食事が楽しめるように工夫されていますね。」とこちらも経験済みの難波氏。「だから今日のイベントに呼ばれたんですよ!」と軽快なトークで会場を和ませていました。
「福祉×スポーツ」
ブラインドサッカーでは、目隠しをした状態でのドリブルとパスを体験。「まず、見えないことで恐怖心が生まれる。自分がどこを向いているのか分からない。ボールから鈴の音がしているけれど、転がってくるスピードが分からない。」と、いつもとは全く勝手が違う中、短時間でコツを掴み、見事なボールさばきに拍手と歓声が上がりました。トークの最後には「車いすの方や目の見えない方など、困っている人は多くいらっしゃる。ここで体験することでそういった方がどう感じるか、どうやって接しないといけないかが身をもってわかるので、ぜひ体験してほしい。」とのメッセージをいただきました。
「福祉×お買い物」
また今回のイベントでは、モレラ岐阜内の「無印良品」「ワンラブ」「PET PARADISE」「サンクゼール・久世福商店」の4つの店舗に協力していただき、専門員の付き添いのもと車いすで協力店を回る買い物体験や、久世福商店のとろみをつけた味噌汁の試食、無印良品のスプーンやフォークに自助具を装着して使用感を体験してもらうなど、ショップと福祉のコラボレーションを通して“福祉”を感じてもらいました。車いすで買い物を体験した方からは「普段と商品の見え方が違って、子どもの目線と一緒。参考になった。」「上から見るよりたくさんの情報が入ってくる。商品も触れることがわかった。」「店内が広く感じる。」などの感想をいただきました。
「福祉×技術」
車いすの新体験として、IAMASと特別支援学校が共同開発した「オープン・ハンドサイクル」の展示・試乗コーナーもあり、多くの方が実際に体験されました。主に肢体不自由児の利用を想定したもので、「自転車で風を感じたい。」「友達や家族と同じことをしたい。」という希望を叶えるために作られ、普段利用している車いすに取り付けるだけで利用できるものです。
また、点字新聞を再利用した点字封筒や点字モビールのワークショップ、目隠しして行うオセロゲームなど幅広い技術と福祉の出合いを体験するブースも設けられました。
「福祉×アート 」
『福祉×アート』コーナーには、福祉施設利用者の作品や障がい者アートが展示されていました。鮮やかな色彩で描かれた作品や創造性豊かな作品は見るものの心をつかむものばかりで、作品に感動した難波氏から、トークイベントの中で「色使いがすごくキレイ。この絵を飾ると部屋がパッと明るくなる。」との感想をいただきました。
「福祉×食べる」
老人保健施設「西美濃さくら苑」で提供されている介護食の試食ができるブースでは「介護食を初めて食べたが、ムース食でも野菜の味がしっかりと感じられた。」という参加者の声が挙がるなど、かむ力が低下した方でもおいしくいただける食を体験しました。
また、本巣市障がい者就労支援センター「みつば 杉の子 ほたる」と、社会福祉法人「いぶき福祉会」による、お菓子の販売もありました。「いぶき福祉会」の招き猫マドレーヌは、地元のサッカーチームを応援したい、繋がりを持ちたいという思いから、FC岐阜のホームゲームの日にスタジアムまで届けており、難波氏から「FC岐阜の選手にはプレーン味が人気。僕は抹茶が好き。」とコメントを寄せていただきました。
「参加者の声」
参加者の方に感想を伺うと「ブラインドサッカーを知るいいきっかけになった。クラブチームの見学に行きたい。」「車いすで自走してみたが、30メートル程で疲れてしまった。大変なことが分かった。」など、実際に体験したことで感じる貴重な声を聞かせていただきました。
民間企業にとっても“福祉”を考えていただく機会となったこのイベントは、“福祉”が特別なものではなく、もっと社会にとけこみ共生社会を実現していく一歩となればという願い、そして子どもたちに“福祉”を手軽に体験してもらい、将来、福祉に携わる人材が増えて欲しいという願いが込められたイベントとなりました。
次は11月10日(日)にイオンモール各務原で開催予定です。