岐阜県の介護業界の未来を担うのは、
志を持った学生、現場で働くプロフェッショナルのみなさんの存在です。
そうした方々に着目し、あらゆる角度から、
介護の仕事と学びについて考えていきます。
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お話を伺った方々
サンビレッジ国際医療福祉専門学校
和久井愛先生(介護福祉学科 学科主任/写真左)
廣瀬武先生(総学科長 作業療法士 /写真右)
トェター・ユ・コさん(介護福祉学科 1年/写真中央) -
はじめに
岐阜県が策定した「第8期岐阜県高齢者安心計画」によると、団塊の世代が全て後期高齢者となる2025年には、県内で約4,400人の介護職員不足が見込まれています。深刻化する人材不足解消に向け、期待されているのが「日本で介護を学びたい」という意欲を持った留学生。2017年9月に、外国人介護職員の新たな受け入れルートとして「在留資格 介護」が追加され、留学生が大学や専門学校などで学び、介護福祉士の国家資格を取得すれば、日本に滞在できるようになったことが背景にあります。これを受け、多くの介護福祉士養成校が留学生の受け入れを拡大し、介護事業者が留学生に対して在学中のアルバイト先の提供や生活支援を行い、夢の実現をサポートするケースも増えています。
とはいえ、留学生が日本の学校でアルバイトをしながら学び、日本人の受験者と同じ介護福祉士国家試験にチャレンジすることは、決して容易ではありません。今回は、介護福祉士養成校として多くの留学生を支えるサンビレッジ国際医療福祉専門学校の取組みを取材しました。
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日本人学生と留学生が一緒に学ぶのが当たり前に
2023年7月のある日、介護福祉士を2年制で養成するサンビレッジ国際医療福祉専門学校の介護福祉学科を訪れると、「ドラマセラピー」の授業が行われていました。この授業は、演劇的手法を用いて思考力やコミュニケーション力を養うもの。さまざまな国籍の学生が、相手に自分の思いを伝えるなどのペア演習に楽しそうに取り組んでいました。
同校の和久井先生は、「現在、留学生は1年生14名、2年生11名と、定員の3割ほどを占めます。出身国はミャンマー、ネパール、インドネシアなど7カ国に広がり、日本人学生と留学生が一緒に学ぶのが日常。受け入れを開始した2020年度当初は私たち教職員も手探りでしたが、試行錯誤しながら学びの環境を整えてきました」と語っていました。その甲斐あって、留学生の介護福祉士国家試験合格率は年々上昇しています。 -
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学校をあげて留学生をバックアップ
サンビレッジ国際医療福祉専門学校での留学生の受け入れ体制や学習環境等について、先生方にお話を伺いました。
和久井先生:「本学の留学生の受け入れ体制は、カリキュラムを日本人学生と区別していない点と、彼らの困りごとや課題に細やかに対応している点が特徴です。日本人学生と留学生が分かれて行う授業は『国語』の1科目のみ。それ以外はまったくクラス分けをしていません。ただ、どうしても留学生は日本語能力にハンディがあるので、難解な専門用語が多い『こころとからだのしくみ』などは、授業当日の放課後に補習時間を設けています。作業療法学科の教員が担当し、分かりやすく解説するなど工夫しています。その他、アルバイト先の紹介や住居の手配、病院の付き添い、生活に必要な情報の提供も。学校をあげて留学生をバックアップしています。」
廣瀬先生:「介護職を志す人は、国籍に関係なく、心根が優しいと感じます。留学生はモチベーションが高く、勉強熱心です。また、積極的で自分の意見をしっかり持って発表したり、質問をしたりするので授業に活気が出ますね。そして、留学生の存在は、介護の現場にプラスの影響をもたらす可能性が大きいです。なぜかというと、介護の仕事は対人援助だから。接する利用者は一人ひとりに個性があり、障がいの程度やニーズもさまざまなので、想像力を持って相手を理解し、思いに寄り添いながら対応していかなければなりません。異なる歴史や文化、価値観を持つ日本人学生と留学生が日々交流しながら一緒に学ぶことは、まさにその大切な能力を大きく伸ばす効果が期待できるのです。」
岐阜県では、介護福祉士の資格取得を目指す留学生向けに奨学金を給付または貸与した事業者に対し、その一部を助成するなど、受け入れ体制の充実に取り組んでいます。留学生は就職を見越して入所施設などでアルバイト(週28時間以内)をするため、事業者にとっては時間をかけて彼らを育成できるのが利点。人材不足解消の選択として、留学生の雇用・支援に取組むのも1つの選択肢かもしれません。 サンビレッジ国際医療福祉専門学校では、事業者の方々の見学を随時受け付けているとのことです。ぜひ一度足を運んで「留学生のリアル」を体感してみてはいかがでしょうか。
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▲調理実習の様子。イスラム教徒の学生がいる場合はハラルメニュー(イスラム教の教えに則った食事)で行う。
▲介護実習の様子。アルバイト先で経験を積んでいる留学生が日本人学生にやり方を教える場面もあるそう。
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留学生の声
介護福祉学科 1年
トェター・ユ・コさん(ミャンマー出身)日本の先進的な介護技術に興味があり、ミャンマー国内の日本語学校を卒業して、今春、サンビレッジ国際医療福祉専門学校に入学しました。同時に、学校の系列施設である「特別養護老人ホーム サンビレッジ瑞穂」でアルバイトも開始しました。勉強と仕事の両立は忙しく、毎日あっという間に過ぎますが、すごく充実していて楽しいです。
日本の人たちは、想像していた以上に優しくて親切ですね。わからないことがあると、学校の先生や友だちがいつも助けてくれます。アルバイト先の利用者さんたちも、心の支えとなっている存在。私が親元を離れてひとりで日本に来た外国人だと知ると「がんばってね」「私のことをお母さん、おばあさんだと思ってね」と声をかけてくださり、温かい気持ちになります。
ミャンマーではまだ、認知症や介護の概念が浸透していません。私も「人が年齢を重ねて、自分で何もできなくなってしまうのは仕方がない」と思っていました。でも、日本で介護の知識や技術を学び、職場で実践していく中で、適切なサポートがあれば、最後まで自分らしく生きられることに気付かされました。介護福祉士はそのサポート役のスペシャリストなのですから、本当に素敵な仕事だと思います。
今後の目標は、介護福祉士国家試験に合格して、施設で正規職員として働くこと。できれば、家族も日本に呼びたいと考えています。その先の目標は、ミャンマーに介護技術を広めること。目標に向かって努力を続けていきたいです。 -
岐阜県では外国人の受入れを検討している介護事業者等の窓口を中部学院大学に委託し設置しています。
TEL:0575-29-3005
>詳しくはこちら
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サンビレッジ国際医療福祉専門学校
岐阜県揖斐郡池田町白鳥104番地
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