高齢者に向けたレクリエーションのコツ

もっと介護職の話をしよう もっと介護職の話をしよう

岐阜県の介護業界の未来を担うのは、
志を持った学生、現場で働くプロフェッショナルのみなさんの存在です。
そうした方々に着目し、あらゆる角度から、
介護の仕事と学びについて考えていきます。

お話を伺った方々

岐阜県介護福祉士会 理事
奥村るみさん

介護福祉士としてグループホームとデイサービスでの勤務を経て、現在は特別養護老人ホーム「さわやかナーシングさかほぎ」で社会福祉士、ケアマネジャーとして活躍。岐阜県介護福祉士会の理事でもあり、得意分野のレクリエーションを中心に各種研修や講師を務めています。

高齢者施設で実践されている
レクリエーション

高齢者施設で実践されるレクリエーションでおすすめしているのは、書道や工作、おりがみ、そろばん、ぬりえ、算数といった、利用者の方が昔やっていたことを思い出しながら行える、これまでの特技が生かせるものです。当施設でもブームやトレンドのものではなく、昔馴染みの遊びやトレーニングをレクリエーションとして多く取り入れています。

認知症のリハビリテーションに用いられる手法の一つに「回想法」がありますが、昔のことを思い出すことによって脳に刺激を与え意欲もわいてくるため、高齢者の脳を活性化させるために最も効果があるといわれています。そして「回想法」でよく取り入れられるのは、昔の歌を歌うことです。民謡や演歌、歌謡曲など声を出して歌うことで昔を思い出し脳が元気になります。レクリエーションはメニューの多さより、“馴染み”が大切なので繰り返して行うことを心がけましょう。

また、レクリエーションを行うのに最適な時間は、およそ30分を目安にするのが良いでしょう。高齢者が1時間同じことを続けるのはとても疲れます。体力的にもそうですが、とくに脳が疲れてしまいます。時間帯についても脳が元気な午前中に行うことが多く、新しいことを覚えたり始めるのではなく、脳トレーニングとしては、身体や指先、脳をバランスよく使う運動をします。どの年代の方も勝負ごとは一番盛り上がりますので、かるたやトランプなども脳の活性化にいいレクリエーションとなっています。

レクリエーションが苦手な職員の克服法

介護老人保健施設はリハビリテーションを目的としており、特別養護老人ホームは利用者の介護度が高いため必ずしもレクリエーションをするとは限りませんが、ほとんどの高齢者施設でレクリエーションが行われます。なかでも日課として行うのは、デイサービスやグループホームなど比較的に介護度が低い高齢者が利用する施設で、ほぼ毎日午前中に脳トレーニングや運動療法などのプログラムが行われます。

職員の中にはこのレクリエーションが苦手な人もいます。ぬりえやおりがみ、工作、書道など、利用者に材料を渡して、あとは手伝ってあげたり、見守っているだけなら良いのですが、集団で行うレクリエーションの場合は、前に立って説明したり司会進行などが必要となります。この人前に立つということがどうしても苦手な人も多くいます。その克服法として、まずは職員の朝礼で話す練習をしたり、大勢ではなく少人数の利用者のレクリエーションをすることから始めます。また自分がやって楽しいと思うレクリエーションを企画して実践するのもいいでしょう。それぞれが得意な分野を発揮すると、心から楽しめて自然な振る舞いができるようになります。

高齢者にレクリエーションを
行う際の注意点

利用者の人数にかかわらず、一人で司会進行するよりは職員みんなで協力しながら行うこともおすすめです。利用者の中にはなかなか理解できない方や耳の遠い方もいます。司会進行する人と利用者に付き添う補助の人材が必要です。そのためには、職員同士でレクリエーションの打ち合わせや役割分担をしたり、普段からのコミュニケーションをとっているとよりスムーズに進みます。

デイサービスやグループホームでは大人数のレクリエーションをすることがあります。その際は全体を見なければなりませんが、そこに関わることができる職員の人数を考えると、どうしても広く浅く見ることになります。どんな状況でも、職員が必ず利用者のそばに付いていてあげてください。そしてゆっくり大きな声でわかりやすく話して理解してもらえるようにします。

レクリエーションの専門資格について レクリエーションの専門資格について

レクリエーション公認指導者

日本レクリエーション協会が定めた学習課程を修了し、指導者として身につけた知識や技術を活用しながら高齢者福祉や幼児保育、学校教育、自主サークル、ボランティアなどさまざまな分野で支援を行うことができます。

特定非営利活動法人 岐阜県レクリエーション協会

2005(平成17)年11月に設立。レクリエーション指導者の養成事業のみならず、レクリエーションを原動力として、市民と共に地域の活性を図る活動を多彩に繰り広げる特定非営利活動法人です。
詳しくはこちら

社会福祉法人慈恵会
さわやかナーシングさかほぎ

〒505-0071 岐阜県加茂郡坂祝町黒岩149-2

TEL 0574-26-8534
FAX 0574-26-8893

前のコラムへ
次のコラムへ