高齢者とのコミュニケーションポイント

もっと介護職の話をしよう もっと介護職の話をしよう

岐阜県の介護業界の未来を担うのは、
志を持った学生、現場で働くプロフェッショナルのみなさんの存在です。
そうした方々に着目し、あらゆる角度から、
介護の仕事と学びについて考えていきます。

お話を伺った方

岐阜県介護福祉士会 会長
浅井タヅ子さん

介護福祉士として岐阜県内の高齢者施設で11年間勤務したのち、専門学校や大学の教員として、介護職を目指す学生たちを育成。現在は岐阜県介護福祉士会の運営や各種研修の講師を務め、傍ら、外国人介護人材の育成にも関わっています。また、介護の資格取得の相談、仕事の悩みカウンセリング、家庭介護の悩み相談や施設探しなど、「介護」に関わるあらゆる分野でサポートをしています。

高齢者とのコミュニケーションの取り方

高齢者の方と接するうえで大切なことは、自尊心を傷つけないことです。認知症になると、理屈は通じなくても感情は敏感になります。その人の生きてきた歴史や人生の考え方、家族のことなど「生活歴」をできるだけ把握して、プライドを壊さないような話し方を心がけます。そのためにはまず「聞き上手、話し上手」になることが円滑なコミュニケーションの第一歩です。相手の話に耳を傾けることで利用者と心を通わせるようになり、聞き役のつもりがいつの間にか自分も話し上手になるはずです。自分をつくろうことなく心を開きましょう。記憶障害を補うための話し方をすることが必要で、できるだけ専門用語は使わずに分かりやすい言葉を使います。その人が輝いていた時代に使っていた言葉や方言を大切にするといいですね。

認知症の人には、距離を近づけて相手のペースに合わせましょう。例えば、帰宅を欲求する人を引き留めるのではなく、「家に帰りたいのですね」とまずは気持ちを受け止め、安心させることが必要です。おせっかいすぎることなく、非言語のいわゆるノンバーバルコミュニケーションである表情・動作・態度を大切にし、感情に働きかけることで、利用者に伝わりやすくなります。昔話を聞くなど、回想法を取り入れて高齢者の理解を深め、なじみの関係を築いていきましょう。

その人の生活を豊かにするレクリエーション

私たちはレクリエーションは心の介護であると捉えています。単なる遊びではなく、生活支援の一つで心を元気にさせる活動であり、利用者の心と生活を豊かにするのが目的です。介護では利用者の行動意欲を引き出すことが重要なポイントになります。一人ひとりが目標を持ち達成しようという行動意欲をかきたてるには、レクリエーションの視点を活用するのが効果的です。利用者一人ひとりに適したレクリエーションの支援をするために、個別のケアプランから支援内容を検討して、その人らしい豊かな生活を目指します。

実施形態には「個別レクリエーション」と「集団レクリエーション」の二つがありますが、要介護度が高くて集団活動が難しい人や、集団になじまない精神的な困難を抱えた利用者には「個別レクリエーション」を、グループ・ダイナミクスの効果が期待できる場合には「集団レクリエーション」を活用します。

また、レクリエーションは、職員自身が楽しむ視点も大切です。人を楽しませるためにはプロとしてのスキルが必要ですが、まだまだレクリエーションのコーディネーターが少ない状況です。

介護福祉士会では、介護現場でのレクリエーションスキルを身につけたい人のためのレクリエーション研修を開講しています。

心のケアは介護される側もする側も必要

介護の仕事は「感情労働」も含みます。利用者の心のケア以前に、自身が抱えている問題点を整理・解決しなければ、いいケアもいいサポートもできません。自分に余裕がなくなると、いわゆる不適切ケア“グレーゾーン”のケアに陥りがちです。ストレスを防止することは自分自身を守り、ひいては利用者を守ることになります。日頃からアンガ―マネジメントなど自分の感情をコントロールする手法や、介護技術、対人関係のスキルを身につけて、疲れをためない生活習慣を心がけましょう。また、気分を切り替えて、ストレスを長引かせないことも大切です。

一方、自分で解決できないようなストレスには一人で悩まず、職場環境を見直すとともに、外部の相談機関を活用するのがいいでしょう。岐阜県介護福祉士会では働く人のための相談を受け付けています。

岐阜県介護福祉士会が開催している講習・研修例 岐阜県介護福祉士会が開催している講習・研修例

新人介護職員のための技術研修と交流会

岐阜県内の介護事業所・施設の新人介護職員の育成及び定着を目的に、実践的な知識と技術の修得や職場内でのコミュニケーション能力等の向上を図るための技術研修及び他施設の職員との情報・意見交換を行う交流会を開催しています。

新人介護職員の悩み相談窓口

新しい職場や日頃の仕事に関する悩みなど、新人の皆さんの悩みにお答えする相談窓口を設置しています。

介護福祉士基本研修

介護福祉士資格取得後の初めての基礎的研修です。介護過程の展開を中心に、生活支援としての介護の視点や自立支援の考え方について学び、現場実践につなげることを目的とする研修です。

ファーストステップ研修

職場の分析やチームケアの学習を通して、的確な判断や対人理解に基づく尊厳を支えるケアが実践できるチームリーダーとしての職員を養成します。認定介護福祉士研修の前置研修となります。

新人育成のためのスーパービジョン研修

職場全体で新人を支える姿勢や、それぞれの立場で新人を支援する実践の継続のための現場に即した講習です。新人職員の指導を担当する方や、今後担当予定のある方におすすめです。

講師養成講座

岐阜県介護福祉士会独自の正しい技術やその深い意味を教育できる講師養成研修です。各種の研修の講師や技術の指導者を育成し、講師派遣事業で任命された人は、自分たちで自主的に勉強会もおこない指導方法などを学んでいます。

ワンコイン研修

岐阜県介護福祉士会では、ワンコインで勉強会を開いています。交流会も兼ねており、お互いに何でも話せるピアサポートの効果もあります。ピアサポートとは経験者同士の支え合いを意味します。受講者のニーズに応えホットな内容の勉強会です。

次世代育成のための“ぎふ介護のエキスパート塾”

岐阜県の介護を担うエキスパートを育成すると同時に、互いに研鑽しあう仲間づくりとネットワークを構築します。

一般社団法人岐阜県介護福祉士会

〒501-0234 岐阜県瑞穂市牛牧913番地10

TEL 058-322-3971
FAX 058-322-3972

▲ファーストステップ研修(於 介護福祉士会事務局2階研修会場)

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