人に寄り添う本質は変わらない。コロナ禍での認知症ケア

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岐阜県の介護業界の未来を担うのは、
志を持った学生、現場で働くプロフェッショナルのみなさんの存在です。
そうした方々に着目し、あらゆる角度から、
介護の仕事と学びについて考えていきます。

お話を伺った方

有限会社 賃貸ルーム
認知症対応型共同生活介護事業所 グループホームてんじゅ
所長 平野真弓さん

主任介護支援専門員、看護師、キャリアコンサルタントの資格を持ち、2006年の「グループホームてんじゅ」立ち上げ時から同施設の運営に携わっています。てんじゅは、働きやすさや働きがいのある職場づくりにも力を注いでおり、2021年に「ぎふ・いきいき介護事業者認定制度」のグレード1を取得しました。

はじめに

新型コロナウイルスの影響により、介護施設はイベントや面会の制限を余儀なくされています。認知症の方々を受け入れるグループホームにおいても例外ではありません。これまで当たり前のように行ってきた認知症ケアの「あり方」が大きく問われることにもなりましたが、施設では工夫を凝らして利用者の方々のメリハリある生活をサポートしています。その取り組みの一端を取材しました。

コロナ禍で寸断されてしまった人とのつながりや社会参加

グループホーム(認知症対応型共同生活介護)は、認知症と診断された65歳以上の方々が、専門スタッフの見守りや介助を受けながら共同生活を送る介護施設です。少人数制による家庭的な雰囲気が特徴で、「てんじゅ」では要介護1から5までの18名の方が暮らしています。職員は、下は20代から、上は80代まで幅広い年齢層の24名。何でも介護するのではなく、入居者様と一緒に掃除や洗濯、食事の準備などを行い、認知症になっても、現在お持ちの能力をできるだけ維持しながら楽しく日常生活を送っていただけるよう、支援しています。
認知症ケアは人とのつながりや社会参加が大切なので、コロナ禍以前はご家族との面会はもちろん、地域のボランティアや保育園と交流したり、季節ごとにバスツアーに出かけたりと、さまざまな活動を行ってきました。ところが2020年の4月からずっと、感染拡大防止を目的に、入居者様の外出や外部との接触機会を制限せざるを得ない状態が続いています。中には毎日のように面会にいらっしゃるご家族との交流や、喫茶店でお茶することや、外食することを楽しみにされていた方が、「ああ、今日も出かけられないのか」と残念がる入居者様の様子が伺え、やるせない気持ちになります。

入居者様とご家族の気持ちを最優先して面会対応

感染拡大が収まらず、長い闘いになっていますが、私たちは手をこまねいてただ現状を見ているわけにはいきません。「この状況下で入居者様のためにできることは何だろう」。自問自答を繰り返し、職員がアイデアを出し合いながら試行錯誤を続けています。
たとえばご家族との面会。基本的には施設内の医療感染委員会が策定した感染対策マニュアルに沿いつつも、杓子定規に考えず、入居者様とご家族の気持ちを最優先して、回数・時間ともに柔軟に対応しています。 スタッフが手助けし、お手紙をやりとりしたり、ある方は窓越しにお顔を見ながら電話で。ある方はLINE電話やZoomを使ってオンラインで。でも、そういったデジタル機器に慣れている方ばかりではないので、思い切って敷地内にプレハブの面談室を建てました。アクリル板越しでの対面ですが、入居者様からもご家族からも「やっぱり直接会えるのはうれしい」と笑顔があふれます。
その他にも、保育園児たちと庭でふれあったり、入居者様のユニットごとに季節の行事やイベント開催、小グループでのレクリエーションをおこなったりと工夫をしています。 保育園児たちとの交流はコロナ禍でも継続しており、手作りマスクのプレゼントや、励ましの壁紙などをいただいています。また、これまで認知症サポーター養成講座を開催する際、コロナ前は園に伺っていましたが、今後はこれまで使用していた手作りの紙芝居や、寸劇動画をバーションアップして、プレゼントしようと計画中です。
コロナ禍は、認知症ケアにおいて何が大切か、改めてわからせてくれた面もあります。人との密接なふれあいはできなくてもコミュニケーション手段はあるし、マスク越しでも笑顔はちゃんと伝わる。以前とは変わってしまったけれど、これが今の私たち。「コロナだから仕方がない」といって、諦めることに慣れたくありません。職員たちと力を合わせて、いろいろな可能性にチャレンジしていこうと思っています。


  • ▲岐阜県の感染防止対策補助金を活用して建てた面談室。

  • ▲オンライン面会を楽しむ入居者の方たち。

  • ▲イベントやレクリエーションは密を避け、小グループ制にて開催。

有限会社 賃貸ルーム(グレード1)
認知症対応型共同生活介護事業所
グループホームてんじゅ

〒503-0812 岐阜県大垣市万石3丁目14-1

TEL 0584-83-3339
FAX 0584-75-1271

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