お話を伺った方

厚生労働省岐阜労働局のみなさん

ハローワークを運営し、求職者に対する就職相談、指導、就職紹介や雇用保険の受給手続きなどを担当。介護事業者と介護関係就職希望者のマッチングを図るべく、専門窓口を設置したり、面接会を開催したりと、介護業界の雇用情勢の改善にも取り組んでいます。

今後も高い求人倍率が続く介護業界

少子高齢化の影響により、社会では「人手不足感」が高まっています。岐阜労働局の求人倍率は平成29年7月現在で1.80倍。対して介護の求人倍率は4.63倍という状況です。介護人材の需要増加が見込まれている上、社会全体の求人倍率の高止まり、雇用状況の改善にともない、今後も介護の求人倍率は高いまま推移していくことでしょう。
介護業界の求人の特徴として、全職業に占める適用事業者数（雇用保険の適用を受ける事業所）の割合に対して、有効求人数の割合が多いこと、また同一事業所から複数の職種・雇用形態の求人が提出されることが挙げられます。

介護現場の賃金を全職業平均と比較しますと、平成27年現在、フルタイム（月給）では約2万2千円低くなっています。年々その差は縮まり、有資格者においては改善も見られますが、まだ他の職業に比べて低い状況です。一方でパート（時間給）は介護求人のほうが職業全体の賃金を40円上回っています。それにも関わらず、介護業界の人手不足が改善されないのは、特にパートでは時間的な融通や休日の取りやすさという要素が重要視されることと、介護労働安定センターが行った調査によると、介護の仕事は「汚い」「大変」といったイメージが強く、敬遠されてしまうことが理由に挙げられます。

介護職員初任者研修の受講で選択肢広がる

介護は人の生活に密接に関わりますから、そこに喜びや楽しさを見出せる方、コミュニケーション能力の高い方が求められます。また仕事の幅が広いので、一職員として淡々と業務をこなすことも必要ですが、それに加えて工夫やアイデアで利用者に喜んでいただくことにやりがいを持ち、それが施設全体のモチベーション向上につながっていくような人材が理想ではないでしょうか。

ひとえに介護事業者といっても、介護サービスごとにさまざまな施設があり、勤務時間や収入、キャリアアッププランなども異なります。まずはご自身の適性や状況を整理してみてください。時間的、経済的に余裕があれば、介護職に必要な知識や技術を身につけるための職業訓練や研修を受講するのも一案です。例えば「介護職員初任者研修」（旧ヘルパー2級）資格は、厚生労働省が定める130 時間のカリキュラムを終了し、筆記試験に合格すると取得できるもので、この受講で事業所の選択肢はかなり広がります。求人によってはさらに上位の「実務者研修」の受講や、「介護福祉士」の資格が条件になっているものも。まずは就職をお考えであれば、資格・経験不問の求人で応募し、働きながら資格取得をめざすのも良いでしょう。事業所の中には、資格取得の支援をしていることもあります。

さまざまな取り組みで介護職をめざす方を後押し

岐阜労働局としても、介護業界の雇用情勢の改善に向け、様々な活動を行っています。例えば各ハローワークでは、介護事業者と介護関係就職希望者が直接話をできる場として、ミニ面接会「介護就職デイ」を開催。岐阜県社会福祉協議会と連携し、介護の仕事に興味のある方に仕事内容を説明する「福祉の仕事相談」も定期的に行っています。またハローワーク岐阜に、介護・看護・保育の仕事に就きたい方の専門相談窓口「福祉人材コーナー」を設置、一部のハローワークで介護職限定の求人誌の発行や職場見学会を開催しています。

他にも、介護労働安定センター岐阜支部を通して、雇用管理改善、地域コミュニティでの情報共有を促し、魅力ある職場の創出をサポート。センターが実施する「介護労働講習会（実務者研修を含む）」へハローワーク登録者を誘導し、介護の仕事を経験していない方や、無資格の方が再就職しやすい環境を整えています。

介護業界は「離職率が高い」と思われがちですが、厚生労働省の調査では、他の産業と比べて飛びぬけて高いものではありません。介護事業者も積極的に改善に努めています。現在の社会でなくてはならない、やりがいのある仕事ですので、興味をお持ちの方はお気軽にハローワークまでご相談ください。