もっと介護職の話をしよう もっと介護職の話をしよう

岐阜県の介護業界の未来を担うのは、
志を持った学生、現場で働くプロフェッショナルのみなさんの存在です。
そうした方々に着目し、あらゆる角度から、
介護の仕事と学びについて考えていきます。

お話を伺った方

一般社団法人 岐阜県介護福祉士会
会長 浅井タヅ子さん

介護施設で約10年間の実務経験を重ねた後、東海学院大学講師に就任し、介護福祉士となる人材の育成・輩出に尽力。2012年より現職。介護職の活躍の場が広がる未来を思い描き、その実現に向けて日々奔走されています。

介護業界全体の底上げをめざして

介護福祉士は介護資格の中で唯一の国家資格であり、介護職の最上級資格に位置付けられています。しかし、資格取得はあくまでキャリアのスタートに過ぎず、専門職として使命を果たすには、生涯にわたって知識や技能の向上に努めていかなければなりません。そこで、介護福祉士の職能団体として1994年に設立されたのが日本介護福祉士会。各都道府県に支部を置き、それぞれの地域の実情を反映した研修・交流活動などを行っています。
岐阜県介護福祉士会は全国の支部の中でも特に歴史が古く、2015年に開設25周年を迎えました。資格の有無に関係なく、介護を学びたい方すべてを入会対象としているのが特徴で(正会員・準会員・賛助会員の3種類を用意)、介護業界全体の底上げや質の高い専門職の育成に取り組んでいます。

岐阜県介護福祉士会が企画・運営を担当した「岐阜県介護のプロスキルアップセミナー」の様子。

国家試験の改正で変わること

少子高齢化が進む現在の日本において、介護福祉士の需要はますます高まり、社会の期待も大きくなっています。「利用者に寄り添い、その人らしい生活を支援する」という本来の役割は変わりませんが、より高い専門性、より豊かな人間性が求められるようになりました。
こうした社会のニーズの変化を受け、2016年度(2017年1月)から、介護福祉士国家試験の受験資格や出題内容が大幅に変更されます。まずは受験資格。介護福祉士になるには、大きく分けて「実務経験3年以上の人が国家試験を受ける」「介護福祉士養成施設を卒業する」というふたつの方法がありますが、実務経験者として受験する場合は、3年間の実務経験に加えて、「実務者研修」の修了が゙必要になりました。また、養成施設の卒業生の場合は、平成29年度の卒業生から5年間の暫定的な資格となり、資格を継続させるためには、5年以内に国家試験に合格するか、5年間継続して介護実務に従事しなければなりません。そして、出題内容については、喀痰吸引などの医療的ケアに関する問題が追加され、問題数や試験時間が増加します。
なぜ、介護福祉士国家試験の改正が行われるのでしょうか。それには「人の人生に向き合う誇りある仕事」として、介護職の地位向上を目指すという狙いが挙げられます。介護人材の裾野を広げながら、現場のリーダーを明確化していく。つまり、山を高くすることが介護業界全体の底上げに繋がるという考え方です。他方で、その実現には現場の意識改革も欠かせません。介護福祉士をはじめとする介護職の皆さんが、希望を持って主体的に活動することがすべてをよい方向に転じさせる力になると、私は信じています。

介護職の明るい未来を描いていきたい

介護福祉士の資格取得後のキャリアパスとして、2016年に認定介護福祉士制度が新設されました。認定介護福祉士は、介護職のエキスパートとして十分な介護実践力に加え、介護チームをまとめるマネジメント力、他職種と連携・協働する力などが求められます。国家資格ではありませんが、実務経験を積みながら技能を磨き、介護福祉士としてより高みをめざす、その選択肢のひとつとして注目していただけたらと思います。
介護職=「きつい」「給与水準が低い」などのネガティブイメージが先行しがちであることは否めません。しかし、介護の現場にしかないやりがいや自己成長の実感、楽しさがあることもまた事実。私自身も、経験を重ねるほどに介護職の持つ魅力に惹きこまれていきました。「この方はもしかすると歩けるようになるのでは?」「外出ができるのでは?」「自分で食べることができるのでは?」などと、観察や洞察から多くの気づきを得て支援し、利用者の生きる力と笑顔につなげていく。その取り組みの中で、働く自分を好きになる・・・。そんな介護の仕事の魅力を多くの仲間やさまざまな関係機関と共有し、互いに支え合うことで、岐阜県の介護業界を元気づける一助になりたい。それが、介護福祉士会の願いであり、使命だと考えています。

介護福祉士国家試験の変更点について

1.受験資格の変更

実務経験者として受験する場合は、3年間の実務経験に加えて、「実務者研修」の修了が必要になりました。実務者研修の受講時間は320時間(初任者研修取得済みの場合)です。また、養成施設の卒業生の場合は、従来は卒業と同時に資格を取得できましたが、2017年度の卒業生からは5年間の暫定的な資格として与えられることになりました。
資格を継続させるためには、5年以内に国家試験に合格するか、5年間継続して介護実務に従事することが求められます。

2.出題内容の変更

2016年度(2017年1月)の試験から、喀痰吸引や経管栄養などの医療的ケアに関する問題が追加されます。問題数は5問ですが、総合問題でも医療的ケアの知識・技術が問われます。また、これに伴い、問題数が120から125問(5問増加)、試験時間が210分から220分(10分増加)に変更されました。 詳しくはこちら

介護福祉士会への入会・資格などに関するお問い合わせ

一般社団法人 岐阜県介護福祉士会

〒501-0234 岐阜県瑞穂市牛牧913番地10

TEL 058-322-3971(平日の9〜17時)
FAX 058-322-3972

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